「小さな生活」
津田晴美(マガジンハウス)



暮らしをとても愛する、津田晴美さんの私にとってはじめての本です。
自分とは性格の違う彼女の、ある潔さのようなものに憧れてしまうのです。

白を基調にしたシンプルなカバーから赤の表紙がのぞいてハッとするほど素敵。文庫本も出されているようですが、私はこのお洒落なハード本をおすすめします。ベイシック、センス、ナチュラル、アンティーク・・・ など、ふだん私たちが何気なく使っている言葉に、彼女のセンスのよさが感じさせられる解説文がついていて、まるでお洒落な辞書のよう。

小さな生活をことごとく自分のものにできたら、どんな邸宅や巨大な都市のプランもできる・・・ と、彼女は言います。
生活をいつもトータルで考え、大きなプランや夢などが、実は目の前の手に負える「小さな生活」からはじまっていると説く彼女。生活者として、家庭生活を任せられているひとりの主婦として、とても勇気づけられる言葉でした。

この本を読んではじめて知った言葉がスモール・ラグジュアリ。巨大なグランドホテルが一流のサービスと華やかな装飾でもてなしてくれるのに対し、ひっそりメインストリートから隠れるように、小さく奥ゆかしいたたずまいでデリケートなサービスでもてなしてくれる、そんなホテルをスモール・ラグジュアリ・ホテルズと呼んでいるのだそうです。
これを私たちの人や物たちとの関係に当てはめてみると、毎日生活していくうちに散漫になっていく心をすっとひとつにまとめてくれる物や人とのつきあい方の大切さ。たくさんの物や多い友人に囲まれることを望み、いつのまにか自分の意識がいつも外ばかりに向けられている・・・ それらのことに疑問を投げかけている彼女の文章は、私たちが生活していくうえで、もっと大切なことに気づかせてくれているようです。

彼女の愛読書が私の一番好きな本「海からの贈り物」であることを知った時、彼女の言葉や主張がすっと私の心の中に入ってきたことに、とても納得してしまいました。



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