佐藤亜有子


「ボディ・レンタル」(河出書房新社)

ポルノグラフィーとしても通用するちょっと過激な描写も、乾いた無機質な文体のせいなのかしら、いやらしさは不思議と感じられなくて、女性の方にもわりと抵抗なく読めるお話です。でも正直言ってあまり面白い本だとは思いませんでした。

ボディレンタル・・・ 自分の身体をモノとしてとらえて、他人に貸し与えて報酬をうけます。主人公のマヤは売春とはまったく違うと言いはりますが、行っている行為はまさに売春。感情が薄くて心が傷つかないからこういう仕事ができると言うマヤですが、自分の身体をモノとしてとらえることで、自分を守ろうとしているように見えてしかたがなかった私・ ・ ・
人形のように相手に自分の身体を与える時、そこまでしないと自分の心を、熱い感情を殺せないものかと、マヤの行為をやるせない思いで読んでいました。
これって、もしかしてゆるやかな自殺なのかな、とも思ってしまったのです。


生贄」(河出書房新社)

2年前にはじめてこの本を読んだ時にはちょっぴりエロチックで妖しい、そんなお話を楽しんで、まるでそれは大人のための童話のようだったのです。その時にはこのお話から大好きな童話、「不思議な国のアリス」を思い出していた私・ ・ ・
何かに追いつめられていく恐怖とそれに自分をゆだねる快感。そして悪いと分かっていてもそこから逃れられないジレンマや自分の職業に対するコンプレックスなどが感じられて、最近読み返した時には村上龍の代表作、「トパーズ」をこの物語に重ね合わせてしまいました。

同じ著者が書いた作品「ボディレンタル」と一見異なった作品のように見えるのだけど、じつはこの二つがとても類似していることに気づきます。
傷つくのがとても怖いのはあくまでも自分の心。だから自分の身体がたとえモノのように扱われても、それらを受け入れることができるというのでしょうか。
そこまでしてもしがみつきたい存在はやはり愛・・・?
それはとても哀しいことなのでしょうが、美しい描写はやはり童話の世界を彷彿させます。