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光野 桃


 


●私のスタイルを探して(新潮文庫)

その世界で第一人者と言われている人たちが、どんなに自分の仕事を、その世界を大切にして、こだわり追究しているのか… この本を読んで私がいちばん感じたこと。ファッションの世界で生きている彼女が、若い時は「自分だけがおしゃれではい」なんて悩んでいたことはとても意外だったのですが、その悩みやコンプレックスが彼女をいっそう高める原動力にもなったのでしょうね。
自分が本当に似合う服に辿りつくためには、まず自分自身を知らなければならないと彼女は言います。
「自分自身を知ること」
一見簡単そうに見えて、とても大変なことかもしれません。「おしゃれな女性」と人から言われるために、自分を客観的に見るという作業を私も頑張ってみようかしら。
自分のベーシックはもっていたほうがいい、という彼女の言葉もとても印象に残りました。 「おしゃれ=シンプル」と言われ続けてきた日本のファッションについても光野さんは問題点を投げかけていて、常にシンプルを心がけてきた私は、ハッとさせられてしまったのです。
艶やかに映える色・・ そんな色のことなどもこれからは考えていきたい、そう思いました。

●ソウルコレクション(集英社文庫)

私たちの身の回り、世の中にたくさん溢れている物。その中からソウル(魂)が欲しているものを見つけること。ほんとうに正しいものにはいい「気」が流れていて、その気に敏感になること。心が喜ぶ物に 数少なく囲まれている人の姿は美しい…著者の言葉が強く真っ直ぐに私の心に届きます。それは正直で力強く、時にはほんの少しエロチックだったりユーモアであったりする言葉。

いつもは意識しないでまわりにある物たち。自分の目で選ばれてそこにある時、その物からオーラが出てくることを思うと、もっと物を選ぶことが真剣になるはず。それは物がただの物ではなくなる瞬間・・
同じ著者が書いた本「私のスタイルを探して」を読んだときに感じた、著者のお洒落に対する強い情熱やら前向きなパワー、自分にはないものに触れたときの新鮮な思いを思い出します。その時はどちらかといえばとんがった強いエネルギーを感じたのですが、この本では恋をしたりアニマルプリントに惹かれる、ちょっと意外な光野さんの一面を見ることができました。 真面目な方だけがもつ、気持ちがいいほどの正直さ…文面から伝わったとき、嬉しくなった私です。

自分がほんとうに好きなもの、心惹かれるものに思いを馳せたとき、はじめて自分自身の魂(ソウル)を発見することができるのでしょうか。読み終わったあと、さりげない日常やなんとなく選んでいた物たちが輝きをまして見えてくる、そんな本。
エッセイなのにまるで1冊の文学を読んでいるかのような、著者の美しい言葉、つむぎ出す文章が好き。