・居心地のいい簡単生活
・すてきな奥さんの憂鬱
・孤立する妻たち
・話を聞かない男、地図が読めない女
・純愛時代
・フェミの嫌われ方
・妻のための恋愛論


生き方・心理(2)



●「居心地のいい簡単生活」デボラ・デフォード(文香社)

題名をはじめて目にした時、面倒くさがりやさんのためのマニュアル本・・・ そんなイメージをもってしまった私ですが、読み始まると一時期たくさん読んでいたシンプルライフのすすめ…そういったニュアンスが伝わってきました。
簡単生活をおくるためには思考や行動の改革、その他しなくてはならないことがけっこうあって、「大変だなあ」なんて思ってしまった私です。
簡単とは違う、きっとそういうことなのかしら・・
ほんとうの自分はどういう人間なのか、自分にとっていちばん大切なもの、望んでいるものは?
それらをまず知ることが簡単生活をおくるための大切なキーワードのようですね。あくまでも自分らしく生きて、そこから生まれる心地よさ・・それがポイントみたい。
自分の生き方に常に疑問を持ち、人生における様々な場面を違った角度から見る…この作業を怠ると、また複雑な生活にもどっていくと著者は主張します。よりよく生きるためには努力を惜しんではいけない、そういうことなのでしょうか?

一時期、「シンプルライフ」に傾倒していた私ですが、最近では「遊び」だとか「余裕」の持つ豊かさに惹かれ始めています。この本を読んでいまひとつピンとこなかったのはそのせいなのかも。


●「すてきな奥さんの憂鬱」・上田美穂(講談社)

一時期、書店にたくさん並べられた、専業主婦の憂鬱・・みたいな本です。古本屋さんで見つけたこの本は6年以上も前に出された本。専業主婦がかかえる寂しさ、子育てのむなしさ、夫との心のすれ違い、そして不倫・・・ ため息がでるほど今まで語り尽くされた結婚生活のイヤな面ばかりが文中で続き、「だいぶ前に出された本だもの、しかたがないわよね」なんて、ちょっとウンザリしながら読み進んでいた私です。だけど、「うん、うん」なんて思わすうなずきながら読んだぶぶんもいくつかありました。
結婚生活の””の部分ばかりが書かれているかのような本ですが、この本の救いは著者の上田さんが旦那さんのことを愛していらっしゃること。そのことが文面から伝わってきてなんだかほほえましかったのです。そのせいかしら、ご主人のことをないがしろにして、自分はなにも努力しないで自分が不幸なのは全部夫のせいにする奥さん、だとか、「亭主元気で留守がいい」なんて平気で言ってのける女性のことを彼女は辛辣に批判しています。

すてきな奥さんというのは「かたち」があらかじめあるわけではなくて、その奥さんの旦那さんにとって「すてき」であることなのだ・・・ というこの本の最後のほうの一文は、ほんとそうだと思いました。
あと、著者がかつて子供を遊ばせるために、毎日のように通っていた公園での辛い出来事を綴った文章には心が痛みました。私も若くして母になったものだから、ふつうのおばさんに見えたまわりの主婦たちにむかって、どこかつっぱって接していたかつての自分のことを思い出して、読みながら苦笑してしまったのです。


●「孤立する妻たち」・武藤清栄 他..(宝島新書)

今までさんざん語り尽くされた感のある「専業主婦の憂鬱」のような内容を想像していたのですが、実際に悩みをかかえた人たちの相談にのっている現役のカウンセラーたちが書かれた本ということで、現実味を帯びた内容がこちらに迫ってきます。
育児、夫婦の問題、公園デビュー…孤立した妻たちの心の叫びが文中から聞こえてきそうな、そんな本。そして妻の問題を語るときパートナーである夫の問題が浮かび上がり、家庭の中で居場所をなくしつつある夫の存在がクローズアップされていきます。

問題は、こうした夫婦間のトラブルが弱い立場の子供たちの心に大きく影響してしまっていること。妻たちの悩みが書かれた本であったはずなのに、読んでいくうちに変えられない自分の境遇とその運命に翻弄されている、そんな子供たちの心の叫びが聞こえてきそうでした。
数人による著者で書かれた本だからしかたがないのでしょうが、1冊の本の中にいろんな問題があまりにもたくさん詰め込まれすぎていて、頭の整理がきちんとつかないまま読み終わってしまった、そんな読後感が少し残念です。



話を聞かない男、地図が読めない女
アラン・ピーズバーバラ・ピーズ(主婦の友社)


社会生物学という分野の学問に基づいて書かれたお話、ということで、もっと難しい内容の本を想像していたのですが、ユーモアをまじえた興味深い内容に、一気に読んでしまいました。
男女の性の違い…直接的な関係を求める男と、そこに甘い言葉とロマンスを求める女。この行き違いがたくさんの悲劇をうんでいるようですね。
「何かをする」ことが男一流の愛情表現という記述に出会い、あまい言葉のひとつも言わないパートナーですが、休日のたびに私のために動いてくれる、彼なりの深い愛情を再確認できました。
男と女はちがう…このことが大きな軸となって書かれてある本。それはけっして差別ではなく、それぞれ得意分野がちがうだけのようです。ただ、とても意外だったのがイギリスやオーストラリアの女性を対象にした調査結果。金銭的な問題さえなければ専業主婦か無職でいたい人がほとんど、という記述に驚く私。いくらメディアが騒ぎ立てても女たちの生きる姿勢はむかしとほとんど変わっていない、そういうことなのでしょうか。女性たちの多くが経済的自立を重視しているという結果も出ているそうですが、そこに矛盾を感じたのは私だけかしら。
私たち人間も動物であることに変わりない…そのことを知った時、心の不自由な枠がはずれ、もっと楽に生きられそうな気がします。


●『純愛時代』・大平 健(岩波新書)

ちまたに氾濫しているやさしさに焦点をあわせ、傷つくことを極度におそれるあまり、やさしさにこだわり続ける若者たちのことを描いた『やさしさの精神病理』の同著の本。
この本でも精神科医という立場のもと、もろく崩れやすい現代人心のひずみを描き出しています。恋愛に純粋なものを求めるあまり心を病んでいってしまう人たちの様子がいくつかの症例によって書かれているのですが、私には彼らが特別変わっている、とは思えなくて、純粋にこだわり続ける恋愛はそんなに悪いことなの…そんなふうに思ってしまった自分にドキッとしてしまったのです。
精神科医であつかう問題の三分の一が恋愛がらみ、だという事実。恋愛のことを深く考える時、現代社会が抱えるいろいろな問題点が浮かび上がってくるというのもうなずけます。 恋愛に純粋さが強く求められれば求められるほど現実に生活している自分には無理が重なり発病に至らせる・・というのはやりきれない思いがしてしまいました。
日々否応がなしにおそってくる現実としての毎日、そこにいる自分。本当のやさしさに厳しさが伴うのといっしょで、純度100%の恋愛にはどこか無理がある、ということなのでしょうか。

精神科医という立場上仕方がないのでしょうが、純粋な人たちが病気の症例として紹介されていることに、なにかさみしいものを感じてしまいます。人の痛みがわからない誠実ではない人が増えている今、人間的におかしいのは果たしてどちらなのだろう?と、この本を読みながら考えてしまいました。


●『フェミの嫌われ方』・北原みのり(新水社)

面白い本だったと思います。でもなにか釈然としないものを読後感にもってしまったこともたしか。フェミニズムを毛嫌いしているつもりはないのですが、胸に小骨が突き刺さったような不快感には自分自身とまどっています。
女性問題だけにとどまらず、社会全体に蔓延している差別…テレビの中、とくにお笑い番組上での差別に戸惑う、著者の言葉にはハッと気づかされるものがありました。ある特定の人を卑下するような笑いはきっと時代遅れ・・
専業主婦を無能よわばりする風潮にも著者は疑問を投げかけています。話題になった「くたばれ専業主婦」に通じる”下品な主婦バッシング”という一文にはエールをおくりたかったほど。

そう、途中までは「うんうん」なんてうなずきながら好意的に読んでいたのです。が、ひとたびセックスについて彼女が述べ始めると私の中に違和感がでてきたようです。 読んでいるこちらが赤面してしまうほどのあけすけな言葉たちの列記…性をおおっぴらに語り、快楽の権利を主張することが女性の解放につながる、ということなのでしょうか?
必要以上に性を隠微な世界に押し込める必要などは感じませんが、臆する世界のひそやかな楽しみとしてとっておきたい、それが私の思い。
女性であることをふくめて性差を楽しみ、その時々をしなやかに生きていけたらいい・・そんなふうに思ってしまうのはあまりにも問題意識がなさ過ぎかしら。女性であることで嫌な思いをしたことが全くない、と言うとウソになってしまいますが・・

読了した後、次に選んだ本が遙洋子の『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』の本ではなく、つんくの『LOVE論』であったことがなんだか私らしい。


●『妻のための恋愛論』・藤野真紀子(講談社)

知的でエレガンス、おまけにとびきりの美人…メディアに登場する華やかな著者の姿を、いつもため息まじりで見ていた私。 雲の上の人、そんなイメージがあった藤野真紀子さんですが、この本を読 むと外見と中身のいい意味でのギャップだとか、自分との共通点をいくつ か発見した時は嬉しかった。

「こんなこと書いていいのかしら」
読んでいるこちらがドキマギしてしまう、そんな表現もいくつかあったのですが、読み進んでいるうちに、”本当”のことだけを書こうとした彼女の誠実さが伝わってきました。時には誤解をうけてしまうことがあっても、人の胸にまっすぐに届くものは、やはり本当のことだけなんだなあ、ということが。

本の帯の文章に「夫以外の男性とどうつきあうか。」なんて書かれてあるのだもの、私の嫌いな言葉「不倫」のことが書かれた本だと最初は思い、少し構えながら読み始めた本。でもけっしてそうではなく、夫婦の関係、著者の恋愛観、それから発展した人生観などがこの本にはたくさんつまっていて、華やかな舞台で活躍する仕事人としての彼女ではなく、ひとりの女性としての藤野真紀子が感じられてよかったです。

信頼しているからこそ、怒りだとか理不尽な思いを旦那さんにぶつけるのだという彼女の言葉。どんな状態であっても受けとめてくれる、そんな信頼関係があるからこそケンカもできる…これってほんとそうだと思います。
今の風潮でもあるお気軽な恋愛ゲームのむなしさ・・ 真剣な恋愛と恋愛ごっこでは表面は似ていても、中身はまったく違うことが著者みずからの経験から書かれてある本。現在恋愛中のカップルや結婚生活をおくっている方だけでなく、これから結婚する方にもおすすめの本だと思いました。