岸本葉子

 


ちょっとのお金で気分快適な生活術(講談社+α新書)

日常生活のワク内でも、毎日を面白くすることはできないか。それがずっと抱いているテーマ…そんな言葉で始まる岸本葉子のエッセイ本。読み進んでいくうちに元気が出てきます。身近にありすぎてつい忘れがちになってしまうほんの些細なことにもこだわり、大切にする。そんな彼女の生き方が好き。
自分では”凝り性”だと思っていた私ですが、岸本さんにはかなわない。困難なことや煩わしいことにぶつかった時、著者はよけいにファイトを燃やし、ひとつひとつ問題をクリアしていきます。やっかいなことから逃げない姿勢、むしろそれを楽しみ生活術…見習いたいですよね!
機嫌よい自分でなければ、ものごとはうまくはかどらないし、他人を思いやることも難しい。岸本さんの言葉です。機嫌よい自分でいるために、日常の中から小さな幸せのヒントを見つけて暮らしを楽しむ、ということはちっとも難しいことではないのですね。
ベランダでハーブを育て、アロマを楽しんでみたり、収納を工夫する・・・好きなこと、たくさんの共通点に嬉しくなってしまったのです。
紅茶の美味しい煎れ方から賢い歯磨き方法、汁が飛ばないラーメンの食べ方、山菜の調理法… 楽しく読み進んでいくうちに、いつのまにかちょっとした暮らしの知恵みたいなものが身についている、そのことも嬉しい。


家にいるのが何より好き(文藝春秋)

自分のこと、かなりのこだわり人間だと思っていましたが、岸本葉子さんの本を読むたびに、自分などはまだまだ序の口…いつもそう思ってしまうのです。
このエッセイでもそんな彼女のこだわりぶりが強く感じられ、その対象がすべて身近にあることばかりだったので、とても興味深く読みました。
他人から見ると取るに足らないような出来事でも、少し視点を変えてみれば、また違ったものとして新鮮に自分の中に飛び込んでくる…ようく考えてみれば普段何度も経験していること。ただ気がつかないだけだったそれらが、このエッセイを読むことでふたたびもどってきます。

「挑んでいる」
暮らしを楽しみ、日々の出来事たちに身を任せながらふわーっと受けとめていく、そんな感じではなく、岸本さんのエッセイを読んでいるときに私が感じたこと。現実的なことや面倒な各種手続き等を夫が受け持ってくれている私とは違い、一人暮らしの岸本葉子さんは、それらを全部自分ひとりで行っています。文章全体から伝わってきた「挑んでいる感」はもしかしてそのせいなのかも。それとも彼女の性格?

ひとつの事柄をとことんつきつめ、妥協など許さないような強いこだわりが本全体にぴしぴしと満ちているのに、どのエッセイからもそことなく伝わるユーモア・・。とくに妊娠話のくだりは笑えました。だけどあらためて自分自身の妊娠、出産のことを思い返したとき、「どえらいことをしてしまった」なんて、今さらのように思ってしまった私なの。