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快速*快適 家事のススメ


愛情生活』・荒木陽子(作品社)

42歳で病気のために亡くなってしまった、荒木陽子のエッセイ集。
写真家アラーキーの奥さんということで、その姿を彼の写真集で目にしている方も多いと思います。こんなこと書くと失礼かもしれませんが、彼女はごく普通の人といった容姿で、特別なオーラみたいたものがあまり感じられません。でもなにかの拍子にとても色っぽい表情を見せ、そんな時、同性ながらドキッとしてしまう。それは写真家である夫の腕もあるのでしょうが、彼女から発せられるあくまでもいい意味でのエッチさをこの本から感じた時、なっとくしてしまったのです。
陽子さんの食にたいする強いこだわり…食の快楽と身体の快楽がいつしか文章の中で溶け合い、読んでいる私をどぎまぎさせます。過激な表現が多いのに、不思議といやらしさが感じられないのは彼女の性格、あっさりとテンポよく書かれた文章のせいなのでしょうか。

アラーキーがレンズを通して妻である陽子さんのすべてをはぎ取って私たちに見せたように、彼女は文章によって素顔のアラーキーの姿を本の中でくっきりと浮かび上がらせています。 上っ面だけかっこいいお洒落な生活からは見えてこない、夫婦二人がいつも心地よくいられる関係は、この二人がいつも本音で向き合っているからなのでしょうね。
長く夫婦を続けていると、男と女であることよりもいつしか家族になってしまう・・その安堵感と馴れ合い。普段はあまり語ることのない夫婦間のセクシュアリティについて、そっと私たちに問いかけてくれるような本。
この本を読み終わったとき、夫とまた旅行に出かけたくなりました。気を使わないで、ただ自分が自分でいさえすればいい、そんな旅は楽しいから。

 

ヴァイブレータ』・赤坂真理(講談社)

自分の意志に関係なくいつも自分のまわりで聞こえはじめた言葉たち。コントロールできない声に悩まされる主人公の女性。編集の仕事にたずさわっていて人一倍言葉に敏感な彼女は、アルコールや過食、嘔吐に逃げ道を見つけます。
まわりから放たれるたくさんの信号をキャッチしすぎた時、人は精神を病み、封じ込められたはずの過去の記憶がそれに絡められた時、人はどんどん追い込まれていくのでしょうか。そこにあるのは逃げ場のないようなひりひりした感受性・・

主人公はある日、いつもよく行くコンビニで年下の男と出会います。彼は大型トラックの運転手。やくざの世界にも足を踏み入れたことがある彼ですが、いたって健全な精神を持ち、こわい世界を渡り歩いていたくせに時折のぞかせるやさしさに彼女は惹かれ、しだいに癒やされていきます。
二人のあいだにあるのは言葉ではなく、もっとたしかな肉体を通しての会話・・
それでもなにかの拍子に精神のバランスをくずしてしまい、男に自分を殴るように哀願する女に「好きだからそんなことはできない」と男のひとこと。こんなストレートな言葉を絶妙なタイミングで言ってくれる男は、主人公でなくても惹かれてしまいますよね(^^)

男と女、硬質と軟質、知と肉…相反するものがトラックの中という小さな密室で融合する時に生じるたしかなもの。
人によっては嫌悪してしまいそうな、そんな過激な表現も多く見られた小説ですが、私の中にはスーッと違和感なくはいってきたようです。楽しめました。


快速快適 家事のススメ』・百瀬いづみ(三笹書房)

朝日新聞の家庭欄、「ネオ家事入門」という私の大好きなコーナーがあって、そこに独自の家事アイデアを紹介してくれているのが著者の百瀬いづみさん。
手間と時間をかけることが美徳・・そんな今までの風潮を吹き飛ばしてしまう、現代にあった家事のやり方のノウハウがこの本にはたくさんつまっています。じつは彼女の家事術、私もすでに実行しているものもいくつかあって、そこのぶぶんにくると、「私もやってる、おんなじだー」と、うれしさに思わす顔がほころぶのがわかりました。
忙しい生活をおくっている人たちで情報を交換しあい、そこから生まれたという家事の効率化。手抜きとは言わせない、賢い知恵がつまったそれらの術は、読んでいると「へーぇ」と感心することばかり。
石けん、重曹、酢・・エコロジー生活の三種の神器がこの本の中でもお掃除方法にしっかりと登場。燃えるものを指標に選ぶとインテリアは不思議と統一される、と著者は言います。シンプルで環境にいい生活がそのまま家事の効率化につながっていくなんて、嬉しいと思いませんか。

やわらかい頭からうまれてくる家事のアイデアたちは今すぐにでも真似したくなるものばかり。 生協の個人宅配、クリーニング店の利用、食器洗い機や衣類乾燥機の利便性… 一見お金がかかってしまいそうな選択が、じつはそうでもないことも著者は具体的に述べられていて、いつも当たり前のようにおこなっている日々の雑事をもう一度考え直してみる、そのことの大切さを感じました。
本を読み終わったあと、しゅろと縄だけで作られたほうきが欲しくなった私です。