浅田次郎


●鉄道員 ぽっぽや(集英社)

とても話題になった短編集です。浅田次郎さんが書かれたものを読むのはこれが始めてなのですが、読んでいるうちにそのお話の舞台になっている景色や情景などが頭に浮かんできて、物語にいつのまにか引きこまれていく、そんな感じで読み進んでいけました。
登場人物の職業、おかれている社会的背景などの裏に隠された、その人の持つ本質みたいなものがお話にきちんと描かれていて、表面だけではない、その人の持つ根っこの部分のやさしさに触れた時、こちらまで温かい気持ちになれるようでした。
読む前から「泣けるよ〜」なんてたくさんの人に言われたそのせいなのかしら、想像していたよりかは平気で読めた私だったのですが、それでもお話の流れが素直な感じで哀しさを連れてくるので、やはり読みながら泣いてしまったのです。とくに「うらぼんへ」のお話が一番悲しかった・ ・ ・
でも、ただ悲しいだけではなく、あの世からいつも見守ってくれている愛する人の存在に気づかせてくれる、そんな心あたたまるお話でもあります。
これをきっかけに彼の書かれたものをこれからも読んでいきたい、そう思いました。